アラスカンマラミュートの莱夢のものがたり「第36話 莱夢と一緒に結婚式」です。

アラスカンマラミュート Prime Snow 〜莱夢といた日々〜

 第36話 莱夢と一緒に結婚式 

 引越しも入籍も無事に終わり、ようやく落ち着いた毎日を送れるようになった2005年5月。さて次は結婚式・・・。とは言え、大きな買い物をしてしまった後だけに、お金なんて全然ない・・・。正直、式なんて挙げなくてもいいのが本音。ただ、家族の大切な記念だから、写真だけはちゃんと撮っておきたい。もちろん、家族である莱夢も一緒に・・・。

アラスカンマラミュート 画像 この願いを叶えるべく、インターネットで「愛犬と一緒に結婚式を挙げられる」式場を探した。でも、結果はほとんど「ゼロ」だった。貸切でのレストランウェディングなどならOKでも、お金がない私たちには無理・・・。やはり、ペットだから、動物だから、施設やドレスを汚すかもしれないから、愛犬と一緒に式を挙げるなんて無理なのかもしれない・・・。少なくとも、日本にはそんな式場も会場もないのかも・・・。諦めかけて、「じゃあ、なるべく安く、手っ取り早く、おしゃれに写真が撮れる式場ないかな?」と検索してみた。ふいに検索にひっかかったのが、「チャペル・ブレス・アス・オール」だった。

 「チャペル・ブレス・アス・オール」の特徴は、なんと言ってもリーズナブルなお値段!ドレスも牧師さんも全部揃った挙式コースが、49800円から用意されているから驚き。もともと、ドレス、メンズフォーマルのメーカーなので、原価でレンタルできるからこの低価格だとか・・・。また、牧師さんは付かないけれど、式を挙げている風な写真のコースなどもあって、お金がなくて、でも式を挙げてるような写真が撮りたい私たちにはピッタリの式場だった。これで、莱夢と一緒に写真を撮れれば言うことなしなんだけど・・・。莱夢が参加するならば、駐車場は絶対に必要。唯一駐車場がある「天王洲店」に、思い切って電話で問い合わせてみることにした。

 電話をかけると、まずは丁寧な応対に感心させられた。そして、愛犬と一緒に式を挙げたい旨を伝えると、「少々お待ちください」とのこと。これは期待できる?それとも駄目なのか?しばらくして、「大丈夫ですよ」との嬉しい回答!思わず、「かなりの大型犬ですが、ホントに大丈夫ですか?」と、念を押してしまう私。式場側の条件を整理すると、以下の4つになった。

 (1)ほかの列席者に迷惑をかけないこと
 (2)新郎新婦の衣装のクリーニング代、1万円が追加になる
 (3)施設を汚してしまった場合は、それに応じて費用がかかる
 (4)新郎新婦のみの撮影中、ワンちゃんを見ている人がいること

アラスカンマラミュート 画像 この条件ならば、私たちも莱夢も大丈夫。莱夢は室内で粗相することは絶対にしないし、ドラマの撮影やドッグショーでカメラにも人ごみにも慣れている・・・。何よりも、吼えたり興奮したりなどしない子だから、まず問題ないだろう。莱夢の介添えは実家の母に頼めば問題ない。念のために下見をさせてもらい、チャペルやドレスをざっと見て納得&満足。コースは「ウェディングストーリー」、日時は2005年6月12日と決まった。

 事前に打ち合わせと衣装選びに行くと、担当の方は「ワンちゃんと一緒に撮影されるんですよね?」とニコニコ顔。「愛犬と一緒に式を挙げたい!」という私たちを、迷惑がるどころか、むしろ楽しみにしてくれてる雰囲気が伝わってきて安心した。ブーケを選ぶ際も、「ぜひワンちゃんにもおしゃれさせてあげては?」と、いろいろと案を出してくださった。莱夢の耳にブーケとお揃いの花を飾ったらどうか?とか、脚に花輪を付けてはどうか?とか・・・。悩んだ結果、莱夢にフラワーネックレスを付けてあげることになった。莱夢の胸は真っ白でふかふか。そこに、ピンク系の可愛い花とグリーンの蔦でできたネックレスを付けてあげる・・・。なかなか可愛いし、映えるんじゃないかな?「サイズはどのくらいでしょうか?」と聞かれて、「60センチで作ってください」と言うと、「そんなに大きいの?」とびっくりされてしまった。すべての打ち合わせが終わると、「当日を楽しみをしてます」と、笑顔で送り出してくださった。

 当日はかなり蒸し暑かった。式場に着く前に涼しい公園を探して、莱夢のオシッコ&ウンチを済ませた。式場には12時45分までに入ることになっていたが、早めに到着。とにかく暑い!事前に式場から、「撮影以外の時は、ワンちゃんは外で待機していて」と、言われていたが、この暑さでは無理・・・。式場の方にお願いしてみると、正面玄関を入ってすぐ横のスペースならいいとのこと。助かった!冷房が多少効いているし、床が冷たいので安心・・・。

アラスカンマラミュート 画像 私たちはプロカメラマンの北原先生と全体的な流れの打ち合わせをするため、2階の部屋に移動した。莱夢は母と一緒にエントランスで待つことになった。私たちの希望は「莱夢とできることは、全部してみたい」。式場のスタッフの方々もカメラマンの北原先生も、その点をすごく理解してくださった。無理かもしれないけど、チャペルに入場するシーンや賛美歌を歌うシーン、ベールアップ、指輪の交換、退場と、すべて莱夢も参加することになった。

 衣装に着替える前に莱夢の待つエントランスに行くと、母はスタッフの方が用意してくださった椅子に座っていた。聞けば莱夢は私の姿を探し、床に伏せながらも常に耳を動かしていたとか。当日は私たち以外にも式があったので、列席者の方々がたくさん通る。そのたびに、「お母さんかな?」と顔をあげ、「違った・・・」とがっかりしていたらしい。尻尾を振ってお手をくれながら甘える莱夢、なんていじらしいヤツ・・・。衣装に着替える時間が来て控え室に向かうとき、振り返ると莱夢と目があった。心配そうな表情の莱夢のもとに戻り、なでながら「後で会えるから大丈夫。いい子で待っていてね」と声をかけた。

 ヘアメイクの三浦さんも、とてもステキな方だった。あれよあれよと言う間にどんどん花嫁らしくなっていく鏡の中の自分に、思わず照れ笑い&苦笑い・・・。会話はもっぱら莱夢のこと。大きいので驚いたこと。おとなしいのでもっと驚いたことなど。ヘアもメイクもばっちり決まり、ウェディングドレスに着替えたら、まずはスタジオとチャペルで事前撮影。その際、莱夢は抜きで、二人だけで撮影することになった。さすがプロカメラマン。「もうちょっと右に移動して、首はそのまま、手はこっち」など、細かなポーズを付けてくれる。そして、デジカメなので、惜しげもなく何十枚となく撮影する。さて、次はいよいよチャペルに移動。莱夢と一緒にヴァージンロードを歩くことになる。莱夢は大丈夫かな?ちゃんと歩けるかな?かなり不安・・・。

アラスカンマラミュート 画像 エントランスからロビーを抜け、莱夢が母に連れられてやってきた。莱夢の首には可愛らしいフラワーネックレスがかかっていた。莱夢はベールをかぶり見慣れない衣装を着た私が、一瞬誰だか判らなかったようだ。気が付くと、嬉しくて尻尾を振りながらぐるぐると私の周りを歩き回った。リードをドッグショー用のパラシュートリードに換え、「座って」と言ってもなかなか落ち着いてくれない。その様子を見た北原先生は「時間はたくさんあるから大丈夫。莱夢ちゃんが落ち着くまで待ちましょう」と、言ってくれた。5分も経つと莱夢はすっかり落ち着き、ドレスの裾を踏みながらも左側をゆっくり歩くようになった。これかな行けそう。いよいよ音楽ともにチャペルに入場!

 右手は彼と組みながらブーケを持ち、左手は莱夢のリードを持ってチャペルの入り口に立つ。荘厳に流れ始めた音楽に合わせて扉が開くと、正面にカメラマンの北原先生。「ゆっくり歩いて」との声で、歩き出した。ドレスの裾を何度も踏んだ。莱夢が下を向こうとするたびにリードを引き上げて抑え、莱夢が先に歩くたびにリードを引き寄せて抑え、顔はなるべく笑顔で正面を見つつ、ゆっくりゆっくり歩く。ひえーーー!思った以上に大変!ようやく祭壇の前まで歩く。莱夢は床の匂いクンクン嗅ぎながら歩こうとする。「お座り」と「待て」で莱夢を落ち着かせてから、賛美歌を歌う。カメラマンは、入り口から背中越しに撮影したり、前に回って撮影したりと忙しく動き始めた。ここで、莱夢の「モデル根性」を私は垣間見た。カメラが向くと、ピタッとカメラ目線で静止するんだからすごい。カメラマンも「莱夢ちゃんいい子だね」とか、「はい、そのままね」とか、たくさん言葉をかけてくれたので助かった!ベールアップや指輪の交換の間、莱夢はまるで「立会人」のように静かに座り、私たちを見守ってくれた。最後は退場のシーン。入場と同様に莱夢を左手で引きながら歩いた。

アラスカンマラミュート 画像 ここで式の撮影は終わり。ここからはもう、「莱夢ちゃん中心で自由に行きましょう!」とのこと。嬉しいことに、「自社のドレスだから汚してもいいですよ。床に座ってもかまいません。莱夢ちゃんに思い切り抱きついても大丈夫ですから」と、言ってくれた。莱夢も雰囲気を悟ったのか、すごくリラックスしたやさしい表情。私も彼も、莱夢への感謝と愛情をこめて、いつの間にか莱夢を中心に頬を寄せ合っていた。撮影が終わるとそのままロビーへ行って記念撮影。式場の方々や別の式の列席者も加わり、新郎新婦である私たちはそっちのけで莱夢の撮影。式の写真もいいけど、何よりも莱夢のやさしい笑顔が嬉しい。

 愛犬と一緒に結婚式を挙げたい・・・。ワンを家族だと思っている人にとっては「当たり前」の感覚だけど、世間ではなかなか認めてもらえないのが現実だった。でも、この夢を「チャペル・ブレス・アス・オール」は快く叶えてくれた。撮影の間だけでなく、常に莱夢と私たちのペースに合わせ、いろいろと気遣ってくださった「チャペル・ブレス・アス・オール」のスタッフの方々、本当にありがとう。一生の思い出を、愛する莱夢と一緒に残すことができて本当にしあわせ。