アラスカンマラミュートの莱夢のものがたり「第33話 ドッグショーで得られたもの」です。

アラスカンマラミュート Prime Snow 〜莱夢といた日々〜

 第33話 ドッグショーで得られたもの 

 私と莱夢がショーチャレンジしたきっかけは、「かっこいいからやってみたい」とか「うちの子を見てもらいたい」とか、かなりミーハーなものだった。確かにドッグショーは華やかな「晴れの舞台」だ。でも、出陳を重ねていくうちに、「厳しい勝負の舞台」だということも痛感した。ドッグショーに出陳するということは、莱夢が「スタンダード」という視点から比較され、まったくの他人である審査員に優劣を決められるということだった。

 私にとって、莱夢は掛け替えのない大切な家族・・・。その価値は何物にも換えがたく、誰かに優劣を決められたり、同じように愛されているほかの犬と比べられて、どこがいいの悪いのと評価されるような存在ではない。ただそこにいるだけで、いとおしい、最愛のパートナードッグだ。

 しかし、ドッグショーはあくまでも、犬種の理想とされるスタンダードをもとに比較審査する、「品評会」。また、スタンダードに近い犬を選出し表彰することにより、さらによい血統を作り出し、優れた健全な犬を繁殖していく目的がある。 つまり、スタンダードに近い犬の繁殖に情熱を傾けている、熱心なブリーダー達の披露と勝負の場なのだ。ブリーダーにとって、繁殖した犬たちが評価され優劣を決められていくことは、とても意味のあることだろう。今後のブリーディングの方向性を見出したり、ブリーディングの励みになるだろう。また、優良ブリーダーとして広く認められれば、宣伝効果や販売促進効果もあるだろう。

 繁殖を目的としていない、私のようなごくごく一般の愛犬家にとって、愛犬をドッグショーに出陳する意味はあるのだろうか?得るものはあるのだろうか?私は、「意味がある」し、「得るものもある」と思う。愛犬をショーに出陳するためには、さまざまなマナーとルールを身に付けなくてはならない。狭いケージで待つことも、知らない人に歯や尻尾を触られることも、たくさんの犬の中で落ち着いていられることも、リードを引っ張らずに歩くことも、家庭で愛される犬にこそ必要なマナーではないだろうか?もちろん、それらのマナーはショーだけでなく、日常生活や旅行、その他のドッグスポーツなどでも学べることだけれど・・・。

 莱夢は出陳を重ねていくうちに、日常生活でも重要なマナーを身に付けていった。また、ほかでは得られないパートナーシップを得ることもできた。莱夢本来の美しいコートを維持することは、莱夢の健康を維持し、管理することにもなった。スタンダードを通して、より莱夢を理解できるようにもなった。そりゃあ、可愛い莱夢がほかの子と比較されて、時として理不尽に優劣を決められるのは抵抗がある。でも、努力した結果が評価されれば素直に嬉しかったし、莱夢と一緒に参加できるドッグショーは、勝ち負けを超えて楽しかった。もちろん、勝ち負けがどうでもいいとは思わない。でも、結果を出すためのプロセスは、私が望んだ「どこにでも一緒に行けて、誰からも愛される、安全で健全な犬」に、莱夢を近付けてくれた。ショーを通して愛犬との信頼関係を深め、愛犬を理解し、愛犬の社会性とマナーが向上していく・・・。一般愛犬家がドッグショーに出陳する意味や、その結果得るものは、このあたりじゃないかと思う。結果として、「ロゼット」だとか「チャンピオンの称号」も得られるならば、それはそれでラッキーだし嬉しいことだろう。

 もしも、愛犬をドッグショーに出陳してみようと思っている方がいるならば、ぜひご自分でハンドリングすることをお薦めする。日常とは少し違った世界で、愛犬の新たな魅力を発見し、いっそう信頼関係を深めるきっかけになるだろう。