アラスカンマラミュートの莱夢のものがたり「第13話 軽井沢旅行記」です。

アラスカンマラミュート Prime Snow 〜莱夢といた日々〜

 第13話 軽井沢旅行記 

(1)プロローグ
 GWを利用して、莱夢と旅に出た。今回の旅の目的は、ずばり4つ。

 (1)莱夢とペンションに泊る
 (2)莱夢とレストランで食事する
 (3)莱夢を思いきり遊ばせる
 (4)私たちも、ちょっとのんびりする
 この目的のために、旅行先やペンションを慎重に選んだ。涼しくて自然が多いところ。莱夢と一緒に入れる観光施設があるところ。莱夢となるべく一緒にいられるペンション・・・・。条件から絞った結果、目的地は勝手知ったる軽井沢になった。


(2)出発
朝5時に目覚め、眠い目をこすりながら窓の外を見る。凛とした青い空気に包まれて、家々はまどろみから目覚めようとしていた。いよいよ出発の朝がきた。

 飛び起きようとした私の膝に、伽凛がよじ登ってきた。私の膝の上に座り込んだ伽凛が、まだ眠そうな緑の瞳で見上げてる。「今日と明日はお留守番だよ。淋しいけど、いい子で待っててね」と、言葉をかけながら、伽凛が飽きて伸びをするまで撫でてあげる。5分くらいゴロゴロ言っていた伽凛が、やがて「ご飯ちょーだい」と催促をはじめた。

 莱夢をハウスから出し、おはようの挨拶をする。私の顔をなめまわす莱夢を抱きしめて、「今日はお出かけだよ」と、言葉をかけた。莱夢はとびっきりの笑顔でこたえてくれた。すぐにキッチンに行き、伽凛の朝ご飯をつくる。あらかた伽凛が食べ終わったころ、2日分の伽凛のご飯を、数カ所に分けて置いた。莱夢には、少なめのご飯と水をあげる。だんな様を起こし、昨夜のうちの積めこんだ荷物をチェックし、莱夢のトイレを積んだら準備完了。

 朝6時すぎ。いよいよ軽井沢に向けて出発!


(3)高坂SA
 一般道の渋滞を抜け、圏央道、関越道と高速を乗り継いだ。朝9時、予定より30分遅れで高坂SAに着いた。ここで、30分ほど休憩をとることにする。

 莱夢に水をあげてからトイレを促す。もよおす様子がないのでSA内を散策してまわった。観光バスの団体客が、さっそく莱夢の周りに集まってきた。莱夢は知らない人や小さな子供が大好き。尾っぽをプロペラのようにブンブン振りながら、みなさんの手や顔をベロベロなめて愛想を振りまいた。そんな莱夢に、観光客の方々も「可愛い!」を連発してくれた。莱夢はますます喜んで、とうとうお腹を見せて「撫でて!」ポーズをとった。大きな白いお腹を、さんざんみなさんに撫で繰り回され、莱夢はご満悦で高坂SAを後にした。


(4)上信越道
 藤岡から上信越道に入ると、緑の山々のはるか向こうに、白い雪をいただいた山が見えてきた。荒々しく天を突く緑の稜線の中、幻のように白くはかない、女性的な稜線が印象的な山だ。アップダウンとカーブを超えるたびに、幻のような白い山は、確かな存在感をおびて近づいてきた。やがて道は妙義山に差し掛かった。巨大な岩そのものが、突如隆起してできたような山だった。切り立った岩肌には緑も疎らで、人を寄せ付けない神秘的な造形をかもしている。なるほど、「魔物が棲む」としたら、きっとこんな山だろう。妙義山を左手に見ながら進むと、白い山が正面に見えた。ここにきてはっきりと山の名前がわかった。そのなだらかな稜線を持つ白い山は、浅間山だった。見た目のたおやかで女性的な稜線とは裏腹に、今まさに活動している活火山。地球の胎動そのものだ。

 高速道路を降り、碓井峠のカーブを抜けていく。ゆっくりと運転していたつもりだが、やはり莱夢が酔ってしまったようだ。急に莱夢がしゃくりあげてきた。地の底から何かが湧き出るような、苦しげな音をたてて、莱夢は少し吐いてしまった。目的地まであと10分くらい。莱夢自身は元気そうだったので、窓を大きく開けてゆっくりと進むことにした。


(5)あむ〜る
アラスカンマラミュート 画像 レマン湖のほとりに建つ「レストラン あむ〜る」は、ワンコと一緒に食事ができるレストランとして有名な店だ。11時過ぎに到着した我々一行は、開店まもない店内に通されてくつろいだ。残念なことに、ほかのお客さんはいなかった。莱夢には、ほかのワンコがいる中での食事を経験させたかったのだが・・・・。

アラスカンマラミュート 画像 莱夢には「ササミと温野菜」というワンコ用のご飯を注文してあげた。莱夢ははじめての場所でちょっと緊張したのか、床の匂いを嗅いでまわって落ち着かなかった。ようやっと、本棚の下に落ち着いたころ、「ササミと温野菜」がやってきた。莱夢を座らせ、「待て」をかける。莱夢の前にご飯をおくと、いつのなく莱夢が興奮していた。莱夢の食事は人間の後なのだが、今回はレストランということで大目にみよう。「よし」と許可すると、すごい勢いで食べはじめた。かつてない食べっぷりだった。あっという間に食べ尽くし、空になったお皿をなめてなめて舌で押し、お皿を壁際まで押しやってしまった。私はもう1皿、同じものを頼んであげた。2杯目も、莱夢はすさまじい勢いで完食した。やがて人間用の食事も運ばれ、私たちはゆっくりと食事を楽しんだ。レマン湖を渡る風はまだ冷たく、空気は冴え冴えと澄んでいた。ため息が出るような淡い新緑の季節を期待していた私は、少し気が早かったことに気が付かされた。季節はまだ冬の終わりだった。

 食事が終わると、1階のショップで莱夢とプリクラを撮った。これがなかなか大変!小型犬ならば抱っこして簡単に撮ることができるだろう。でも、莱夢はすでに30kg近い体重だった。とても抱っこは無理。そこで、大型犬用の台に乗せ、さらに前足を持って半分抱き上げながら撮ることにした。まず、台に乗りたがらない。なだめすかして乗らせても、すぐに降りようともがく。なんとかポーズを決めて、「待て!」で静止させてから撮影した。悪戦苦闘の末、やっとできたプリクラなのに、私たちが写ってない・・・。莱夢の顔のサイズを考えれば、所詮一緒に写るほうが無理だったのよね。とほほ・・・。


(6)旧軽井沢
 あむ〜るでさんざん遊んだ後、車は旧軽井沢に向けて出発した。その車内で莱夢のオナラが爆発!これがまた臭いの臭くないの・・・・。音は立てない「すかし」だったので、なおさらすごい悪臭だった。本人は悪びれもせず、すっきりした顔つきでニコニコ笑ってる。車内は走る毒ガス室さながらの惨状だった。だって、ほん・・・・っとに臭いんだもん。窓を開けてワイワイ騒いでいたら、急に莱夢がラゲッジルームへ行った。も、もしやウンチ??と思ったら、さいわいオシッコだった。走行中だというのに、ラゲッジルームに置いたトイレにしゃがみこみ、器用に用を足したようだ。

 旧軽井沢の駐車場に車を停めたのは、午後1時すぎだった。莱夢は車から降りるなり、駐車場で下痢気味のウンチをした。莱夢はロングドライブと寝不足で、体調を壊しているようだった。私の心配をよそに、本人はけろりとしていた。本当に大丈夫??

 当初は旧軽井沢銀座で買い物したあと、雲場池や幸福の谷、ささやきの小道などを散策する予定だった。でも、軽井沢はまだ冬の気配が濃く、期待していたような新緑はどこにもなかった。時間も押していたので、とにかく買い物を済ますことにした。莱夢はときどきしゃがみこんで下痢気味のウンチをしながら、それでもご機嫌に歩いた。9ヶ月ぶりに訪れた旧軽井沢銀座は、夏の賑わいとは違う、しっとりした町並みで迎えてくれた。行き交う人々はまばらだったが、何人かが足を止めて莱夢と遊んでくれた。莱夢は「可愛い」とか「お利巧さん」とかいう言葉に敏感に反応し、ちぎれんばかりに尾っぽを振って喜んだ。


(7)白糸の滝
アラスカンマラミュート 画像 時刻は午後2時半を回っていた。次の目的地は白糸の滝。車は有料道路に入り、ゆっくりと峠を進んだ。景色を見ていると季節を逆行していくような錯覚に陥る。乾いた冬の木立が延々と続くいていた。窓から流れ込む空気は、樹木の清々しいにおいがした。莱夢は窓から顔を出し、冷たく冴えた空気を一心に嗅いでいた。

 車を停め、遊歩道に向かう。小川が木漏れ日をキラキラと反射させ、涼しい音を立てながら流れている。その横を、細い遊歩道が林の奥へと伸びていた。白糸の滝までの道のりを、空のペットボトルと莱夢の食器持参でゆっくりと歩く。莱夢に浅間山の伏流水を飲ませてあげる魂胆だった。莱夢は土の感触を確かめるように、苔むした大地を踏みしめて歩いた。私は大きく息を吸い込んだ。胸の隅々まで、瑞々しい森の薫りが染みこむようだった。やがて、シンと静まり返った空気に、さらさらとした水音の気配が混じってきた。

 半円形にぐるりと削られた山肌は、緑の苔と荒々しい岩肌との、見事なコントラストで覆われていた。ビロードのような苔の間から、繊細な絹糸さながらの水が、さらさらと流れ落ちていた。幾筋も、幾筋も・・・・。日の光を浴びてキラキラと玉のように輝く水が、ラムネ色に澄んだ滝壷に吸い込まれていく。白糸の滝とは、うまく名付けたものである。

 私は水辺に立ち、不思議な青さをたたえた水に触れてみた。峻烈な冷たさに指がジンジンと痛くなる。その水をペットボトルにくみ上げ、食器に移して莱夢に飲ませてみた。莱夢は本当の水を知らない。匂いを嗅いで確認してから、堰を切ったような勢いで飲み干した。


(8)ペンション花闊歩
 国道から左折し、冬枯れた別荘地の小道を行く。目指すペンションの看板を右折して少し走ると、瀟洒な建物が見えてきた。莱夢がペンションデビューを迎える、「ペンション 花闊歩」に到着した。

アラスカンマラミュート 画像 「花闊歩」はペット連れには言うことなしの、とびきり過ごしやすいペンションだった。話はちょっと横道にそれるが、ここでキチンと紹介しておきたいと思う。ペンション前には駐車スペースとワンコの遊び場を兼ねた砂利の広場がある。玄関を入ると、右手に水道とバケツ、タオルかけにかかったタオルが用意されている。ワンコの足を拭いたり洗ったりするのにとっても便利だ。玄関からあがると目の前がフロントになっていて、気さくなオーナーが笑顔で迎えてくれる。フロントの左手はプレイスペースになっていて、ペット談義に花を咲かすにはもってこいの場所。フロントの横を抜けると、そこは光あふれる大きなダイニング。吹き抜けの空間を活かし、大きな窓がとても開放的だった。ダイニングから続く階段は、ワンコと並んでも充分なスペースがあるので安心だ。2階の廊下は吹き抜けを囲むような構造になっいて、吹き抜けと向かい合うように各部屋の扉が並んでいる。部屋にはユニットバスが付いているので、いつでもお風呂に入れるから便利。部屋のインテリアもセンスよくまとめてあって、ペンションライフを楽しませてくれる。

 館内の床はすべてフローリングなので、万が一粗相があってもすぐに対応できるのが有り難い。また、各部屋やプレイルームには、粘着ローラーや消臭材、ビニール袋、ティッシュが用意されているので、万が一のときも安心だった。さらに花闊歩には、嬉しい24時間OKの露天風呂まである。日中は森林浴、夜は満天の星空を眺めながら、手足を伸ばしてのんびりと浸かれる、とても気持ちのいいお風呂だ。チェックイン時に予約すれば、部屋ごとで貸しきりできるのも嬉しい。ワンコを遊ばせるにはもってこいの牧草地が、すぐ裏手にあるのも嬉しい。車で5分の場所には専用ドッグランもあるらしいので、次回はぜひ利用したいと思う。

 花闊歩は基本的に、館内どこでもワンコと一緒にいられるペンションだ。ワンコが入れないのは、厨房、露天風呂の浴槽、各部屋のユニットバスくらい。ちなみに露天風呂内にはリードを掛けるフックが付いているので、ワンコを繋いで一緒にお風呂を堪能できる。

アラスカンマラミュート 画像 閑話休題。話を元に戻そう。ペンションに着いてオーナーと挨拶を交わし、莱夢が下痢を起こしている旨を伝えた。まぁ、大丈夫だとは思うけど・・・。さっそく案内された部屋で一息ついた私たちは、さすがに疲れてベッドに横になってしまった。莱夢も疲れたようで、すぐに床に寝そべってそのまま眠ってしまった。30分ほど休み、ちょっと買い物に行くことにした。だんな様と莱夢をセカンドシートに乗せ、車を転回しようとバックしたとき事件は起きた。ドーンという鈍い音と衝撃で、車がガクンと揺れた。莱夢は足を突っ張って、なんとか踏みとどまった。なにごと??車から降りて、びっくり!花闊歩の看板が、見事にはずれて地面に落ちていた。が〜ん!!大変なことをしてしまった!!すぐにオーナーさんに知らせて見てもらうと、ネジで留めなおせばOKとのことだった。よ、よかったぁ〜・・・。が、車はよくなかった。左後ろのバンパーが、見事にひしゃげて無残な状態だった。納車してまだ1ヶ月だというのに・・・・。(T_T)

 買い物から帰っていったん荷物を部屋に置き、莱夢と牧草地に遊びに行った。花闊歩の息子たち、「ゲン(げんとく)君」と「コウ(こうめい)君」も一緒だ。途中で今晩の宿泊客、ゴールデンレトリバーの「チェルシー」ちゃん(9ヶ月)と会った。莱夢は大きさからか、ゴールデンに嫌われることが多いが、幸いチェルシーちゃんは穏やかで賢い子で、怒りもせずに莱夢を受け入れてくれた。チェルシーちゃんと別れ、牧草地へ向けてのんびりと散歩した。ところが莱夢はゲン君に惚れてしまったらしく、お尻の匂いを嗅いだり追いかけまわしたり、ストーカー女さながらに付きまとう。ゲン君は莱夢がお気に召さないらしく(ウェイト差ありすぎ?!)、逃げ回っていた。牧草地に着くと、ゲン、コウ、莱夢の3匹は思いっきり走りまわって遊んだ。

 チェルシーちゃんとプレイルームで遊んだあと、ダイニングで夕食をとった。チェルシーちゃんは学校を出ているだけあって、ビシッ!とテーブル横にフセたまま動かない。莱夢は、もぉ注意力散漫・・・。腰を崩した「休め」の状態で寛いでると思えば、チェルシーちゃんと遊びたがってキューキュー鳴いたりした。また、お料理が運ばれてくるたびに起きあがって、スンスン鼻を鳴らして匂いを嗅いだ。それでも次第に落ち着きを取り戻し、食事が終わるころにはテーブルの下で「休め」をして、じっとしているようになった。私たちの食後、部屋に戻ってから莱夢の食事をつくった。たぶん食べないだろうと思っていたが、やはりまったく食べなかった。フードを手ですくって莱夢の口元に持って行くと、かろうじて少し食べたものの、すぐにそれさえも受け付けなくなってしまった。莱夢は環境が変わると食べなくなるので、あまり心配はしなかったが・・・。

アラスカンマラミュート 画像 食後は露天風呂でのんびりした。浴室はとても開放的で、林越しに牧草地が一望できる。遠くに転々と人家の灯りが見えるだけで、天の星と地上の星との区別がつかないくらい、辺りは透明な闇と静寂に包まれていた。その闇を溶かすように、やわらかな灯りが張り出したウッドデッキに灯っている。お湯は浅間山の伏流水なので、青いほど澄んでいてやわらかかった。浴槽に身を沈めて思いっきり手足を伸ばすと、1日の凝りが心地よくほぐれてきた。莱夢はウッドデッキの欄干にリードで繋いでおいた。私たちがすぐ傍にいるので、彼女もリラックスできたようだ。

 お風呂からあがり、着替えてから荷物を持って部屋に帰った。だんな様は煙草を吸うため、莱夢と一緒にプレイルームに残った。それがいけなかった。莱夢はトイレを我慢していたらしく、プレイルームのラグにオシッコをしてしまった。よりによって、ラグの上!!周りはフローリングだというのに、狙ったかのようにラグの上にしてくれた。きっと感触から判断して、「ここならいいかな?」と思ったんだろう。オーナーさんに謝り、すぐに雑巾でぬぐった。撥水加工してあったのか、幸いオシッコはほとんど染みこまなかった。よかったぁ・・・。トイレを察してあげなかった私もいけなかったが、莱夢ももうちょっと我慢してくれればよかったのに・・・。今回の旅行で、この事件はまさに唯一の「汚点」だった。σ(^_^;)

 その後は夜遅くまでオーナーさんとワンコ談義に花を咲かせた。途中、ゲンちゃん&コウちゃんもやってきて、莱夢にちょっかい出したり出されたり・・・。ゲンちゃんは莱夢のサイズがお気に召さなかったのか、莱夢が苦手だったようだ。莱夢はなぜかコウちゃんよりゲンちゃんのほうが好きみたい。莱夢の恋はいつも一方通行なのよね。

 翌日は食事を済ませると、早々に部屋の掃除にとりかかった。部屋に用意されている粘着ローラーや簡易モップで床を掃除する。もちろん、ベッドやソファも念入りに掃除。なんせ莱夢は毛むくじゃら!彼女が歩くところはすべて毛が落ちている。掃除しているそばから莱夢が汚してくんだから、ちょっとやりきれない。一通りチェックしてから部屋を後にし、チェックアウトの手続きをした。

アラスカンマラミュート 画像 チェックアウト後は、ペンションの前庭でワンコどうしの追いかけっこをして遊ばせた。莱夢とチェルシーちゃんはサイズ的にもちょうどいいらしく、お互いにじゃれて走りまわった。その周りをゲンちゃん&コウちゃんが走りまわっていた。なんとも平和な風景に、しばし至福のときを過ごす・・・・。チェルシーちゃんのオーナーさんは、激しい遊びっぷりにちょっとハラハラしたようだ。確かに莱夢の拳は大きいから、ヒットすればかなり痛いはず。でも、そこはワンコどうしだから、ちゃんと手加減しながらじゃれてる。遊びが一段落したら、莱夢のみ牧草地へお散歩しに行った。莱夢は旧軽井沢での下痢以来、1度もウンチをしていなかった。なんとかこの散歩中にウンチをしてほしいと祈りつつ、牧草地までの道を歩いた。車の中でされると、そりゃあ目鼻にツンとくるほどくっさいからね・・・。さいわい莱夢は道のど真ん中にしゃがみこんで、そりゃあもう立派なウンチをしてくれた。ビニール&ティッシュ越しに掴んで、もちろん「お持ち帰り」!牧草地で走りまわって遊んだ後、ペンションに戻っていよいよ出発。最初の目的地は「鬼押し出し園」だ!


(9)鬼押し出し園
アラスカンマラミュート 画像 雪をいただいた浅間山の裾に、名勝「鬼押し出し園」は広がっている。大地はゴツゴツとした黒い岩で覆われ、天の蒼との強烈なコントラストが目に染みるようだった。天と地の間には、黒い岩肌を縫うよう細く白い道が続いていた。まるであの世に続いているかのように、どこかはかなげで頼りなげだ。いつか、悪夢で見た景色に似ている。風が頬を切り裂くように冷たい。その景色の中を、莱夢と一緒に歩いた。

 園内には「狛犬岩」や「親子岩」など、いろいろな名前の付いた岩がたくさんあった。遊歩道はよく整備されていて、幾とおりかのコースになっているので、のんびりと散策するにはうってつけだろう。今回はあまり時間がなかったので、奥まで行かずに近場の散策にした。途中で鐘を突いたり、クレープを食べたり(寒かった!)、「交通安全」のお守り(吸盤で車のフロントガラスにはれるタイプ。もうぶつけないぞ!)を買ったり、お土産を買ったりして遊んだ。

アラスカンマラミュート 画像 それにしても、「莱夢の行くところに人だかりあり」だ。ワンコ好きの観光客の皆さんに囲まれ、莱夢はとってもご機嫌だった。ちょっとでも誉められると、すぐにお腹を出して「撫でてぇ」と甘える。どこまでも陽気なヤツである。いったい何組の観光客から写真を撮られたんだろう。ほとんどの方は「ハスキーちゃん?」と聞いてくる。「アラスカンマラミュートです」と言うと、そんなの知らないって顔されることが多い。それでも「大きいけど、おとなしくて良い子ね」と誉めてもらえることが多い。ありがたいことだと思う。マラミュートの素晴らしさを、莱夢を通して知ってもらえれば私もこんなに嬉しいことはない。12時くらいまで園内を散策し、お土産を買ってから車に戻った。次の目的地は清里だ!


(10)清里
アラスカンマラミュート 画像 清里へ向かう途中、ペンションに忘れ物をしてしまったことを思い出して大騒ぎになった。莱夢の食器(中身入ったまんま・・・)を忘れてしまったのだ。慌てて電話して、後日送ってくださるようにお願いすると、快く引き受けてくださった。最後までご迷惑を掛けてしまってごめんなさい。

 思いのほか道が空いていた。南へ下るにしたがって、路傍の桜が満開になっていった。季節を追い越していくような気分だ。午後2時ころ、予定よりもずっと早く、緑薫る清里へ到着した。まずは腹ごしらえである。

 清里はワンコ連れには嬉しい施設やスポットが多い。今回は「ヒッコリーファーム」というお好み焼き屋に立ち寄った。ここではワンコ連れはテラス席で食事ができる。お好み焼きを待つ間、観光客のお子さん達が莱夢と遊んでくれた。おうちでは以前シェパードを飼っていたらしく、しきりに「シェパードに似てる」と言っていた。(あんまり似てないと思うけど、この際なんでもあり!)男の子が莱夢の尻尾に触ろうとしたとき、お姉さんの方が「尻尾はダメ!怒られるよ!!」と慌てて言った。え?尻尾触るとワンコって怒るの?莱夢は尻尾だろうが歯だろうが耳だろうが、どこを触られても全然大丈夫な子。だからちょっと驚いた。「尻尾触っても大丈夫だよ」と、私が言うと、男の子が恐る恐る莱夢の尻尾に触れた。莱夢は嬉しくって男の子を顔をなめている。男の子が莱夢の尻尾をぎゅっと触った。莱夢はいたって陽気にしている。「へぇ。怒んないんだぁ」と、お姉さんも驚いたようだった。結局莱夢はお子様2人にこね繰り回され、そこいらじゅう撫でられていた。

 食事が済んだら清泉寮に向かった。さすが観光地だけあって、かなりの人出だ。名物のソフトクリームを求めて、かなりの長い列が出来ていた。私も並んだのは言うまでもない。ワンコ連れの観光客も多かった。特にゴールデンレトリバーが5頭もいて、牧草地を駆け回って遊んでいた。莱夢も牧草地の端っこでノーリードで遊んだ。莱夢と追いかけっこをしたり、かくれんぼしたり・・・。高原の涼しい風に吹かれて、莱夢も私もとっても気持ちよかった。だんな様はそんな私たちの姿をベンチでのんびり見ていた。

 さて、時刻は3時半を回ったので、そろそろ家を目指そう。きっと伽凛が淋しい思いをして待っている。


(11)家路
 さわやかな清里を後に、一般道で中央道のICを目指した。中央道に入ると道はとっても空いて、思いのほか早く帰れそうだった。時間があれば山中湖で温泉に入る予定だったが、家路についたとたん伽凛の顔が見たくって、「空いてるなら早く帰ろう!」とアクセルを踏み込んだ。途中、双葉SAで一休みしたものの、大月から富士五湖道路を経て御殿場へ抜け、さらに東名へと乗り継ぐ強行軍!使える有料道路はすべて使うという奮発ぶり!!おかげで自宅には午後6時に到着した。

 玄関を開けると伽凛が「みゃぁ〜!!」と鳴きながら廊下を走ってきた。きっと、とっても淋しかったんだね。抱き上げて頬刷りすると、伽凛はのどをゴロゴロ鳴らして甘えてきた。莱夢を家に上げると、伽凛と莱夢はお互いに鼻をくっつけて挨拶をした。こうして、長いようで短いような、初の莱夢連れ旅行は無事に終わった。


(12)エピローグ
 今回の旅行は予想以上に楽しかった。何よりも、莱夢の満面の笑顔!きっと、莱夢も満足してくれたことだろう。今回、莱夢を通していろんな方々とお話しできた。私たち夫婦だけで旅行したって、こんなふうなコミュニケーションは生まれない。莱夢がいるだけで、集まってきた方々に自然と笑顔が生まれる。莱夢の不思議なパワーを感じた。莱夢のトイレや体調など、心配事も多かったけど、それ以上に楽しい旅行ができ、本当に嬉しく思う。これからも、莱夢の好奇心や明るい性格を大切にしながら、いろいろな経験をさせてあげたいと思う。